新型タバコは人体に安全かどうか全く分かっていない

 

各学会から、新型タバコに関する見解が発表されている。たとえば、日本呼吸器学会の見解は、以下の通りです。もう2018年から見解は変わらずです。東京オリンピック前に大きく表明を出したわけです。

1.  非燃焼式・加熱式タバコや電子タバコの使用は、健康に悪影響をもたらす可能性がある。

2.  非燃焼式・加熱式タバコや電子タバコの使用者が、呼出したエアロゾルは周囲に拡散するため、受動吸引による健康被害が生じる可能性がある。従来の燃焼式タバコと同様にすべての飲食店やバーを含む公共の場所、公共機関での使用は認められない。

(日本呼吸器学会HPの掲載文4から引用(一部変更))

つまり、新型タバコ自体が、慢性閉塞性肺疾患・心疾患など、健康被害をもたらす可能性があるため、加燃式タバコの代替使用は容認することは出来ないということです。

主な理由としては、前述のように新型タバコの身体に対する影響が不明な点が多いということです。ひょっとすると新型タバコにしても大きな有害事象は変わらないかもしれないとも思われています。少なくても有害事象について評価をしていくのは非常に難しいだろうと考えられています。なにより、現在までに発表された海外における新型タバコに関する研究は、電子タバコについての研究がほとんどです。日本で使用されている非燃焼式・加熱式タバコの健康への影響は、電子タバコの研究結果が参考に出来ない可能性があります。今後、新型タバコについての日本独自の公衆疫学の研究が必要でしょうが、それは可能かどうかも分かりません。JTによるテレビ広告、パンフレットなど巧妙なマーケット戦略もみられます。燃焼することによって発生する有害物質が大幅に削減されることをアピールはしていますが、現時点では、日本人に対する「新型タバコが喫煙者・周囲への健康被害が少ないかどうか」かは、明らかにされていません。

日本で普及されている非燃焼式・加熱式タバコも、燃焼式タバコよりも有害性は低い可能性はあると考えるが(ハームリダクション?)。田淵先生は、新型タバコであっても人体に対する有害事象は減らない可能性もあると言及している。また、より強固なニコチン依存症を作る危険性もあると考えられている。また同本で、新型タバコはタバコ対策の難易度がさらにあがるだろうとも言及しています。あまり私自身は意識していなかったが、確かに組成をコントロール出来るということも考えると、一度政府自身が新型タバコとして定義をし、制限をした場合でも、いわゆる「改良版」はいくらでも製造出来るだろうと思われます。

いずれにせよ、現時点では、新型タバコを代替使用として認めるというより、従来通りの方法でうまく患者を禁煙へと誘導していくことが、指導として正しい姿勢であると考えます。